Page 2 - スライド 1
P. 2

第14回  西の湖ヨシ灯り展を終えて


                 14年も続いている西の湖ヨシ灯り展は、10数名の実行委員会と賛助金をいただく会社・商店、篤志家
               の善意を支えに成り立っています。もちろん、「ヨシ条例」や「ラムサール条約」といった環境に関わる県・
               市の補助金や、夏原グランドの助成金によるところは言うに及びません。  これらの支えとボランティアの
               方々の共同作業です。
                 しかし、今回は、世界中を襲った「新型コロナウイルス感染予防対策」ということで、3月から5月までの
               政府の「緊急事態宣言」によって、日本の学校が休校措置、また、移動を控える「ステイホーム」。さらに、
               教育・文化・スポーツなどのイベントが休止。2020年東京オリンピックも延期。各地における「お祭り」「フ
               ェスティバル」「集会」などが自粛。「ソーシャルディスタンス」といって2m以上の距離を置く対応、窓口は透
               明のビニールを挟んでの対応。席も、「3密」を避けるように「×」の印。街々には「マスク」があふれ、入口
               には「消毒液」がおかれ、ピストル型の非接触型体温計で「体温」を計るなどなど、日常生活は、昨年度と
               は大きく変容。この中で、イベントは次々に自粛、自粛、自粛。すっかり日常生活が変わりました。
                  「西の湖ヨシ灯り展」の第1回実行委員会は4月16日に開催。「屋外である」「今まで継続してきた灯を
               大事に」「『3密』を避ける方法を」ということで開催を決定、5月の第2回実行委員会では「コロナの終息を

               願って、私たちにできる小さなこと」と合言葉にポスター・チラシを制作。ヨシ灯り展の作品づくりに関しては
               心配していましたが、今までワークショップを実施していた学校・コミセンが、3密を配慮して、人数制限や
               制作場所を大ホールなど工夫していただいて実施できました。  また、各個人の家での制作も呼び書けて
               308点の作品は集まりました。
                 そして、9月25日(金)の恒例の6時間に及ぶ審査にまでこぎつけるこができました。
                 26日の夕闇迫る午後6時オープニング。県からは中條絵里副知事、小西理市長などの来賓方々の臨
               席を得て、点灯式。その後のあいさつ。ここで、突然の雨・雨・雨。中條副知事のあいさつ、小西市長の挨
               拶、来賓紹介で、オープニングを中止するという事態になりました。  表彰式や講評などができずに関係者
               にはご迷惑をかけました。
                 その後、雨は止み、翌日の27日には、月夜の中、ゆっくりと楽しんでいただけました。  実行委員会を代
               表しまして、このヨシ灯り展にご協力いただきましたみなさんに、心よりお礼申し上げます。ありがとうござ
               いました。
               <エピローグ>
                  このヨシ灯り展で気づいたことがあります。26日の夜8時過ぎ。会場を見て回っていましたら、小学生
               の女の子が肩を落として歩いていました。その後ろに、お母さんと弟が。「見てこられました?」と声をかけ
               ると。「言わないでください。壊れていたの」と。
                 そうです。一生懸命作った作品が、風と雨で壊れていたことがショックだったのです。
                 この野外展示の「ヨシ灯り展」の作品は、世界で一つの作品ですが、自然の嵐にさらされるのです。これ
               が現実なのです。今回は、特に風が強く、作品が飛ばされて壊れました。
                 ある学校の先生から、その作品を「ひとまとめにして台板とともに返してほしい」と言われました。
                 そうです、その学校の作品は、半数近くが壊れたのです。学校に持て帰って、再び命を吹き込む作業を
               されるというのです。  自然の残酷さを味わうのも教育の営みなのひとつかとも思いました。

                                                                               木野  和也


                                                    中止決定から1時間後  午後4時

















                                                              1
   1   2   3   4   5   6   7