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小さなヨシ灯り展から、未来につなぐ環境教育へ、ヨシとシ灯り展から、未来につなぐ環境教育へ、ヨシと
                   小さなヨ
                                                    の出会い
                                                    の出会い

                                                                          成安造形大学  立神まさ子

               2月、極寒の中。安土、西の湖の水面はキラキラとひかり。
               さわさわとヨシの穂が揺れる音を感じ、ヨシ原に立つ。
               見上げる空の蒼は深く、美しく、澄み切った空気を、ゆっくり吸い込む。
               全身が浄化され、禊ぎを受けているような感覚。
               何百年前からかわらぬこの景色、今昔の地に同じ場所に立ち、育んだ人に思いを馳せる。

               ヨシ原初体験は、五感を突き抜けるような感覚でした。
               1996 年ヨシ狩り初体験の日、その日から学生達と共に9年間ヨシ狩りに参加させて頂き、
               1999 年から現在「ヨシの造形」として本学の授業として取り組んでおります。
               本学の開学時の造形教育の4つの柱は、1.建築による風景の創造、2.弱者の人達のための教
               育、3.心と魂からの表現、4.素材にこだわる→地場産業の育成でありました。この4つ目の
               柱を、西の湖のヨシ原を守っておられる竹田勝博さんが「琵琶湖に生えるヨシ」と本学をつ
               ないで下さいました。その時はエコや環境といった言
               葉をまだ日常的に耳にすることはない時代、竹田さん
               との出会いは、本学の一つの柱となる教育の目覚めに
               なりました。

               授業「ヨシの造形」、学生達は琵琶湖の環境を背景に、
               ヨシを最大限に生かし、五感をゆさぶるようなデザイン、
               見る人の心を動かす作品創りを模索していきます。
               教育のもう一つの柱でもあり、作品創りに大事なことは展示される「環境」を考えること。
               そして、ヨシ灯り展に出展することにより、展示の環境が変化すること、作品のデザイン、
               展示計画を、大学での展示から後に展示する西の湖での展示も検討していきます。この課題
               のおもしろいところ醍醐味は、環境がかわれば、展示される作品のイメージも変化し新しい
               表現となること。ヨシが生まれた場所に作品を還し、新しい環境を創る。この挑戦に18年
               学生達と取り組んで参りました。

               「ヨシ灯り展」の主役は「子ども」の作品と「地域の皆さん」の作品です。小学校、公民館、
               コミュニティセンター等、様々な場所で開催されるワークショップは、ヨシ灯り実行委員会
               を主に、地域の皆さんの協力の下開催されています。18年前から大切に受け継がれ、安土
               を愛する皆さんでつないでこられた小さな作品展。未来を担う子どもたちに伝えたいこと、
               ヨシを守ることは地球環境を守ること、作品創りを通じて数え切れない子どもたちが貴重な
               体験をしてきました。今年 EXPO2025、大阪・関西万博、環境素材として「ヨシ」がパビ
               リオンやコスチューム素材として注目を受けてます。竹田さん、安土の皆さん。
               やっと、時代が追いついてきましたね!世界へ発信できる、大きなチャンス。しかしながら
               いつもどうりに、慌てず、騒がず、粛々と「第 19 回ヨシ灯り展」はかわることなく開催さ
               れることでしょう。私も、初心忘れることなかれ、あの禊ぎを受けた瞬間の気持ちを大切に、
               学生達と共に心して、作品創りにチャレンジして参りたいと思います。











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